アレルギー性鼻炎

くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主症状、他に眼、のど、耳の痒みなどの症状がおこります。鼻水は、粘りけが無く、水様透明です。

近年患者数が増えています。10人のうち3,4人はアレルギーがあると言われています。

一年中症状のある通年性アレルギー、花粉の飛散時期だけの花粉症があります。

原因

アレルギー性鼻炎は、鼻に吸い込んだ微細な物質が鼻の粘膜で反応をおこしてくしゃみ鼻水(鼻漏)、鼻づまり(鼻閉)などの症状をおこします。本来は異物を体外に出す目的の反応なのですが、それが必要以上に強く反応をおこしている状態です。

原因となる物質をアレルゲン(抗原)といいます。

抗原の種類

  1. 通年性アレルギー
    ダニ、ハウスダスト、カビ(カンジダなど)など。
  2. 季節性アレルギー(花粉が原因の場合を花粉症という)
    3~5月:スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカバ、など樹木の花粉。
    5~7月:カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなどイネ科植物の花粉。
    8~10月:ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなど雑草の花粉、ユスリカ、ガなどの死骸の成分、鱗粉。
  3. その他
    犬、猫、鳥、ハムスターなどペットの毛、羽など。

症状

  1. くしゃみ、鼻水、鼻づまり
  2. 耳、鼻、のど、目などのかゆみ
  3. のどの痛み

検査

鼻汁中好酸球検査

鼻みずの中に好酸球(白血球の一種)が含まれているか調べる検査です。アレルギー性鼻炎では、鼻水の中に好酸球が増えています。

血液検査(RAST)

アレルギーの原因となっている物質(アレルゲン)を調べるための検査です。血液を採って調べます。

治療

Ⅰ.抗原の除去と回避(抗原(原因)となるものを自分から遠ざけます)

ハウスダスト、ダニアレルギーに対しては、ダニの駆除は難しいですが減量に努力しましょう。

  1. 掃除機を用いて、こまめに部屋を掃除しましょう。
  2. ダニが繁殖しやすい織物のソファー、毛の 絨毯、畳は避ける。寝具はダニを通さないカバーで覆いましょう。
  3. 寝具は頻回に日干しましょう。
  4. ペットの室内飼育は避けましょう。
  5. 空気清浄機を使用しましょう。
  6. 部屋の湿度は約50%、温度は20~25度に保つように努力しましょう。

花粉症の場合は、除去は難しいので、吸入しないための対策を立てましょう。

  1. 外出時にはマスク、メガネを用いましょう。
  2. 外出から帰ったら、家に入る前に花粉を、服、体からはたいて落とし、洗顔、洗髪、 うがいを行いましょう。
  3. 花粉情報に注意し、花粉飛散の多い日、晴天でカゼが強い日は、なるべく外出を控えましょう。花粉の屋内への侵入を防ぐために窓はなるべく開けないようにしましょう。
  4. 空気清浄機を使用しましょう。

Ⅱ.薬物療法(主に内服薬と点鼻薬があります)

アレルギーを抑えるお薬は以下のようにいくつにも分類され、それぞれにまた複数の薬剤があります。各々特徴があり、患者さんの症状によって使い分けていきます。

  1. ケミカルメディエター遊離抑制薬
  2. ケミカルメディエター受容体拮抗薬
    1. ヒスタミン拮抗薬
    2. トロンボキサンA2拮抗薬
    3. ロイコトリエン拮抗薬
  3. ケミカルメディエター合成阻害剤
  4. Th2サイトカイン阻害剤
  5. ステロイド剤
  6. その他

即効性(調子の悪いときに内服し、すぐに効果が出るもの)の薬剤もありますが、効果がマイルドで、十分な効果が現れるまでには2,3週間続けて内服する必要がある薬剤もあります。その両者の性質を持った薬剤もあります。効果の程度も効果の出るまでの期間も薬により様々です。2,3日内服して、効果がないと決めてしまうのは早計です。医師の指示通りに内服しましょう。

また、副作用も殆ど無いものから眠気の強いもの、内服中はアルコールや他の薬剤との併用ができないものもあります。緑内障、前立腺肥大症などにかかられている方は内服できない薬剤もあります。

症状がある程度ひどい場合は、複数の薬剤を併用したり、眠気の副作用はあっても強い薬を使い、場合によっては点鼻薬を併用します。症状が治まってくれば、単剤に減らしたり、マイルドな薬に変更していきます。

毎年症状を起こす方は、マイルドな薬を予防薬として症状が出る2週間程前より内服を始めて、本格的な飛散に備えます。

Ⅲ.点鼻薬

点鼻薬も以下にあるように種々のものがあり、効果が違います。

  1. ステロイド薬
  2. 自律神経作用薬
    1. α交感神経作用薬
    2. 抗コリン薬
  3. 抗アレルギー薬
  4. 抗ヒスタミン薬

点鼻薬も、アレルギーの反応を全般的に抑えるもの、アレルギー反応にかかわるヒスタミンという物質をブロックする薬剤、鼻閉を改善する薬剤、鼻漏を改善する薬剤など様々です。

内服と同じようにすぐに効くものから、しばらく使い続けないと効果が出てこないものもあります。使い続けるとよくない薬剤もあります。1日の使用回数も薬によって違います。医師の指示通りに使いましょう。

Ⅳ.舌下免疫療法

原因(アレルゲン)がダニとスギの場合は、原因物質から抽出した薬剤があり、これを口の中(舌の下)へ入れて体に吸収させる舌下免疫療法があります。アレルギーが治る可能性がある治療法ですが、毎日最低でも3年間は続ける必要があります。70~80%の方に効果があるとの統計があります。

Ⅴ.手術療法

保存的療法(薬物療法など)で症状の改善が見られない場合に行います。鼻閉、鼻漏ともに効果がありますが、粘膜が再生してくると症状が再発します。電気凝固法、冷凍手術法、レーザー手術法、トリクロール酢酸塗布法などがあります。

上記のいずれも鼻腔内の下鼻甲介という部分に対して行います。下鼻甲介の粘膜を焼いたり一部切除したりします。それにより、鼻腔内が広くなり、鼻閉が改善したり、アレルギーの反応が起こりにくくなります。