おたふくかぜ
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)
原因
ウイルス感染(ムンプスウイルス)によって起こる疾患です。2~3週間の潜伏期があります。
1回かかると終生免疫を獲得し、2度とかからないと言われていますが、稀に再度罹患することもあるようです。
飛沫により感染します。
症状が出る2日前くらいから唾液腺が腫れている間は感染します。
症状
1~2日間の微熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠などの前駆症状があり、次に急激に耳下腺部(耳の前から下にかけて)が腫脹(片側のみまたは片側の腫脹後2~3日で反対側も腫脹)し、1~2日で腫脹が広範囲となり、痛みや開口障害も伴ってきます。
顎下腺(顎の下)も腫れてくることが多いです。
小児では10日前後、成人では2~3週程度で後遺症無く治ることが多いとされています。
合併症
顔面神経麻痺、耳下腺以外の唾液腺・睾丸・前立腺・卵巣・乳腺・胸腺の炎症、さらに続発症として、心内膜炎・腎炎・脳脊髄膜炎・神経炎・感音難聴などが起こることがあります。
熱が再び出て頭を痛がり何度も吐くときは、無菌性髄膜炎の可能性がありますので早めに診察を受けましょう。
腹痛が強いときや、男児で睾丸を痛がる場合も早めに診察を受けます。
診断
確実な診断は血液検査でおたふくかぜの抗体価を測定します。結果が出るまでには、1週間ほどかかってしまうので、初診時に「おたふくかぜである」と確実に診断することは出来ません。
通常は、血液検査までは行わず、以下のようなことを参考に診断します。
- 職場・学校・幼稚園などで流行している
- 今まで罹患したことが無く、予防接種もしていない
- 複数の唾液腺(左右耳下腺、左右顎下腺のいくつか)が腫れている
耳下腺など唾液腺には、おたふくかぜのウイルス以外にもたくさんのウイルスや細菌が感染します。おたふくかぜと診断されても血液検査を行っていない場合は、おたふくかぜでない場合もあり得ます。過去に一度罹ったのに再び罹った場合は、過去の診断が間違っていた可能性もあります。
治療
おたふくかぜのウイルスに効く薬はありません。初診時には確実に診断できない場合があったり、他の細菌の感染も一緒に起こす可能性も考えて、抗生剤を投与することもあります。他には、解熱剤・鎮痛剤などの対症療法が中心となります。
食品は酸っぱいものや、固いもの、塩辛いものは避けます。
予防法
おたふくかぜのワクチンの予防接種で予防が可能ですが、ワクチンの有効率(抗体獲得率)は90%程度のようです。
ワクチン接種による副作用(無菌性髄膜炎、脳炎、難聴など)の報告は稀ながらありますが、自然感染に比べてずっと少ない頻度ですので、ワクチン接種をお勧め致します。
ワクチン接種は1歳からできます(任意接種です)。大きい子どもや成人の方でおたふくかぜにかかったかどうかわからない人は、抗体検査を受けて下さい。抗体がなければワクチン接種を受けておきましょう。兄弟がかかった場合の予防にすぐワクチンを打っても間に合いません。
学校保健法での取り扱い
流行性耳下腺炎は第二種の伝染病に属するので、耳下腺の腫脹がある間はウイルスの排泄が多いので、腫脹が消失するまで出席停止となります。